2月14日に、多摩美術大学上野毛キャンパスで行われたデザイン展「E=design
4」に行ってきました。デザイン学部4年生の卒業制作、院生作品、3年修了課題作などを、上野毛キャンパスの教室を1階から3階まで使って披露した展覧会です。この季節はあちこちの美大で卒業制作展が行なわれていますが、デザインという、社会やプロダクトに直接つながっている行為へ今後関わっていく人々の作っているものに興味があって、思い立って見に行きました。
たくさん展示されているので、いいなと思う作品、これが「売っていたら買う」と思う作品もあれば、実際のモノのデザインとしてはどうかな、と思う提案まで、いろいろありましたが、ひとつ非常に印象に残った作品展示がありました。
それはデザインというよりもコンテンポラリーアート作品であって、石川薫さんの「Laundry 日常の変身」です。



白い洗剤と白い背景の上に展示されていたこれらの物質はもともと「本」だった物体です。
洗濯機と本を、洗濯(本)という操作にかける、それを徹底して行なうと、こうなってしまう。
なんだかすごいと思いました。
これらの作品は触ってみると石のように堅くて、表面が独特のテクスチャーをもっており、彫刻のようです。
洗濯機で洗ってしまってはいけないものを洗ってしまう、ということは、ときどき発生する出来事ですが、それを徹底すると本という存在のマテリアルな部分がこのように現れてくる、というのは、気がつきそうでなかなか、気がつかないことです。
それを、洗剤のさわやかな香りと白さのなかでこうして見せてもらえる、というのは、コンテンポラリーアートの体験としてとても素敵だ、と思いました。
こういうおもしろい気づきを、今後もどこかで見せてもらえたら嬉しい。
石川さんの今後の活躍に期待します。
(KONO)