12月9日に第13回劇作家協会新人戯曲賞公開審査会を観にいった。
審査員の劇作家7名が2時間半かけて議論し最終候補の5作の中から新人賞受賞作を決める、その一部始終を公開するという催しものだが、あのおもしろさはいったいなんなのだろう。
審査員の発言内容に感心したり納得したりということが鑑賞の充実度を高めるのはもちろんだが、単にそれだけでなく、彼らの議論のやり方、通じていなかったりどうでもいいところでもりあがったりするコミュニケーションのあり方が純粋に眺めていて楽しいし、しまいには坂手洋二が間違ったところで立ち上がったり平田オリザが投票用紙を集めに歩いたりしているだけで見ていて笑いそうになる。
あと土田英生をなんとなく敵視していたのだけれど(というのも昔彼の戯曲で演じたことがあって、その戯曲に恨みというか憎しみというかそんなんじゃないけどある種のネガティブな感情があるからなのだが)、実物を見るといい人そうだった。
詩人とかも公開審査会をやればいいのに、と考えたが、あまり見たくないなとも思ったりする。
で、審査結果だが、黒川陽子「ハルメリ」が見事受賞した。
ブロンズ新社から出ている「優秀新人戯曲集 2008」に収められているのを事前に読んでいたが、「ハルメリ」という概念/言葉だけでひたすら突き進むその展開に圧倒され、魅了された。
これはひょっとするととんでもない作品ではないか、受賞すればいいなとひそかに期待していたので、劇作家たちからも認められてうれしい。
審査員の一人である川村毅さんがブログにも書いているように、珍しく審査員全員が推したのだった。
「ハルメリ」の作家がこれからの演劇界で大きな存在となることを期待する。
(■山田)
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